

井上修志九州初発表、初個展
一周の螺旋は円にも見える
私は3.11の時に一瞬にして街が瓦礫の山となる姿を見て、社会と環境の関わりについて考えさせられ現在の制作に至っています。それは同時に私たちが技術的進歩を進める中で世界とどう関わるかついて考える事でもありました。
人類は産業革命以降、飛躍的に発展し生活を便利にしています。そうした科学技術は世界に様々な影響を与えてきましたが、その影響は一概に良い影響とは限りません。そして扱う技術力が大きくなれば、その技術によって引き起こされる問題も大きくなる事も事実だと思います。現在、私たちの社会は多くの科学技術と共にあり、それに伴う多くの問題の上に成り立っています。
問題が生まれるから飛躍があり、飛躍がある問題が生まるという矛盾の中に私たちの営みがあると言っていいでしょう。
矛盾の中で連続する発展とそれによって引き起こされる問題の繰り返しの構造は円環にも見えます。しかしそれは円環ではなく、二度と戻らない同じ所には戻らない螺旋状なのかもしれません。私はその螺旋状の先がどこに向かうのか、また何ができるのか
ささやかながら考えてみたいと思っています。
井上修志

INOUE
Shuji
tokyo, japan
exhibition in 2023
井上 修志
1995 年 宮城県⽣まれ
2021年 東京東京藝術大学大学院グローバルアートプラクティス専攻修了
自身が持つ3.11の経験から社会の脆さや危うさ、また対峙する社会と自然の構造に興味を持つ。公共空間に作品を持ち込み、場所で物理的に規定される事、或いは場所へ依存する作品が多い。空間が持つ歴史や意味性を紐解き、自らのフィルターを通して現在と接合する。日常生活で不要になった物や廃棄物などを素材とした彫刻作品やインステレーション作品を手掛ける。
2022年招聘作家・井上修志は、昨年11月初旬から約3ヶ月、熊本県荒尾市に滞在し制作に取り組みました。
今回の熊本滞在は、作家にとって初めての九州での生活でした。
純粋な好奇心と、明確な制作に向けての視点を持って井上は、荒尾近郊だけではなく、産業革命遺産を中心としたリサーチをしながら南下し、熊本市内、益城、天草、長崎、佐賀、福岡と九州を円を描くように、土地を巡りリサーチを続けました。
どのような形で今回の成果展で発表されるのか。ぜひ、足を運んでお確かめください。
アーティストトーク開催
井上 修志(いのうえ・しゅうじ)
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花田 伸一(はなだ・しんいち)