top of page

Manda Pit Artfes 2023

今回、荒尾市万田坑で初めての大規模な現代美術の展覧会を開催します。
本年度春から万田坑にて、リサーチを行った国内外で活動、発表を行う 4 名の現代作家がこの場所から着想を得た作品を施設全体で展示します。


万田坑は明治 35 年に開坑し、三池炭鉱の主力坑として、三井の総力を挙げて整備され昭和 26 年まで大量の石炭を日本、ひいては世界中に供給していました。その後、坑内の水の管理坑として稼働し続け、平成9年に三池炭鉱は閉山しています。その後荒れ果てた炭鉱跡地の、歴史的重要性が新たに見つめなおされ、文化財としての価値が

認められることとなり、平成 27 年に明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業の構成資産として、世界文化遺産に登録されています。


万田坑を表現する言葉は、炭鉱跡地、遺構、史跡、世界遺産、さまざまなものがあります。今では日本の多くの炭鉱跡地が更地、もしくは既に別の建物が建ち姿を変える中で、万田坑は当時の石炭採掘の様子が良くわかるかたちで残っています。勿論、現在炭坑マンはいませんし、施設も稼働していません。しかし、実際にこの場所を訪れると、この土地で働いていた人々の日常の気配の色濃さに圧倒されます。参加作家は、跡地でありながら、今も強く人の暮らしを伝えるこの場所を、何度も訪問し、得られた土地の持つ物語から制作を進めてきました。

 

本展覧会「万田坑芸術祭 跡地から生まれた現代美術」は、万田坑で生まれた作品を、旧炭鉱施設全体に展示する現代美術展です。市民のための無料開放日を初日とし、地域に開かれた展覧会となること、文化遺産と現代美術が結びついた際に生まれる新たな視点の可能性の提示を目指しています。

 

総合ディレクター・宮本華子

INOUE COPY.jpg

INOUE shuji

inoue.jpg

海底をくぐるように掘り進められた三井三池炭鉱。

日本の近代化を支えたそのトンネルは石炭採掘のために多くの人が動いていた。また、万田坑敷地内をくぐり抜けるように作られた桜町トンネル。そこは近隣住民が生活の一部として使い、かつて多くの人が行き交っていた。
スケールや役割など対極の様に思える二つのトンネルが同時に存在していた頃を想像し、現在と重ねる事は私に新しい視点を与えてくれると思う。

井上 修志(いのうえ しゅうじ)

1995 年 宮城県生まれ

2021 年 東京東京藝術大学大学院グローバルアートプラクティス専攻修了

主な活動に「一周の螺旋は円にも見える」(熊本、AIR motomoto、2023) 「」」ひばりの」

岸(宮城、ひばりの」岸、2022) 「KAWAKYU ART Exhibition 2022 」 ( 和歌山、ホテ

ル川久、2022 )「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2021」( 東京、TOKYO TORCH

Park 、2021 ) 「SDGs×ARTs 展」( 東京、 東京藝術大学美術館、2021) 「 東日本写真

パネル展」( 埼玉、入間市博物館、2021)など

Learn more:

  • Instagram
USHIJIMA COPY.jpg

USHIJIMA hitoshi

ushijima.jpg

私の両親は小さな鉄工所を営んでいて、主に滑り台とかブランコなど公園や小学校にある

遊具を作っていました。工場と住居がほぼ一体で暮らしていたので鉄の切子や、なめたドリ

ルなどがオモチャの様なものでした。万田坑を見上げていると個人的な小さな頃の記憶が、

鉄の臭い・焼ける時の熱・鉄混じりの土埃などと共に空に拡散していくようです。

牛嶋 均(うしじま ひとし)

1963 福岡県久留米市生まれ(久留米市在住)

1983 九州造形短期大学グラフィックデザイン科卒業

主な活動に奥能登芸術祭 (石川、珠洲市、2023)「はじまるとき、はじまる 1 (福岡、ギャ

ラリーエウレカ、2022) 「はじまるとき、はじまる 2」 (九九州、ギャラリーソープ、2022)

「風を待たずに—村上慧、牛嶋均、坂口恭平の実践」(熊本、熊本市現代美術館、2017)

「人智の研究 ver.6 遊具-武器-遊具」 (島根、島根県立石見美術館、2008)主な収蔵先に

金沢 21 世紀美術館(石川)霧島アートの森(鹿児島)福岡アジア美術館(福岡)

NAGANO COPY.jpg

NAGANO sakurako

nagano.jpg

「職場」は、万田坑が日々機能するために機械のメンテナンスを行う場所だったらしい。閉

山後、自然の力によって小屋組みがほとんど落下したそうだが、一度建物を解体し再利用可

能なものはなるべく使用して組み上げたことで今の「職場」がある。一度壊れ、また姿を取

り戻した、閉山後の「職場」。その佇まいと空気を脳裏に焼き付けながら制作した映像イン

スタレーションを展開する。

長野 櫻子(ながの さくらこ)(anno lab)

1989 年 福岡生まれ

2016 年 広島市立大学芸術学研究科造形芸術専攻

現在、岐阜県立情報科学芸術大学院大学に在籍

主な活動に 「 18 回 アーティスト・イン・レジデンスの成果展 2022 記録と表現 立ち

止まり、また動き出す」 (福岡、福岡アジア美術館、2023) 「ななたが誰で、どんなに孤

独だろうとも」 (福岡、EUREKA 、2022)「対馬アートファンタジア 2019 」 (長、、対

馬アートセンター他、20192019)上映 「Fate de l'anime 」 (フランス、2016)「Punto y

Raya Festival2016 」(ドイツ、2016)「新千歳空港国際アニメーション映画祭」(北海道、2016)

「tricky woman 2017 」(ドイツ、2017)

※なまえのなとに(anno lab)を入れていただけると嬉しいとのこと。

Learn more:

MORIMOTO COPY.jpg

MORIMOTO ryoji

morimoto.jpg

万田坑の隣には、現在使われてないアソニットという工場の建物跡がある。そこでは炭鉱事

故で夫を亡くした寡夫の人たちが働いていたらしい。アソニットで拾った糸を編んで、長い

紐を作った。この編んだ紐をアソニットと万田坑に通し輪状にした。

森本 凌司(もりもと りょうじ)

1994 年 高知県生まれ

2019 年 Bath Spa University テキスタイルデザイン科卒業

主な活動に「向こうに、さす」(Art & Garden ねこぜ、大分、2023) 「3331 によって、アー

トは『』に変化した」(アーツ千代田、東京、2023)「現実 47 」(大分県立美術館、大分、

2022) 「 In:Site Festival Revisited 2021 」(バーミンガム大聖堂前広場、イギリス、2021)な

ど。3331 ART FAIR 2022 小池一子賞受賞。

Learn more:

  • Instagram

Artists' Comments

Related Events: Opening Talk

video and editing by SOTI Keisuke 

Related Events:
Hello Hello
Manda Pit
Smile Chimney
Tea Party

作家:オーギカナエ 

コラボレーション:

スぺクス・ヨハネス、

ドニカ・マリ
開催時間:13 時 30~16 時 30 分
(材料が無くなり次第終了)
開催場所:汽罐場煙突
※雨天時は炭鉱電車展示建屋にて開催予定
内容:約 20 人分のおとお菓子を提供

参加費:500 円

作家紹介

ohgi kanae.jpg

Learn more:

​オーギーカナエ

1986年から1993年まで東京を中心に個展や グループ展を多数行う。 1997年に拠点を福岡に移し、サイトスペシフィックな作品や、ワークショップを行う。 インド、シンガポール、スウェーデン、中国と美術展に参加。 近年では、移動するスマイル茶室<スマイルの旅プロジェクト>で国内外を旅し、2018年 金沢21世紀美術館で企画された「変容する家」にも参加した。

2_edited.jpg

​スぺクス・ヨハネスxドニカ・マリ ユニット

スペクスとド二カはドイツの制作活動時から、それぞれの活動において食べ物と食文化を重要 視し、農家から消費者へたどり着く経路の研究を継続して行っています。食文化を通し、多くの 他者とのコミュニケーションを大切にしてきました。今回のお茶会で多くの人とコミュニケーションをできたらと思っています。AIR motomotoでの展示は11月11日から開催します。スぺクスとドニカのユニットについて以下リンクでご覧ください。

Learn more:

inoue.jpg
ushijima.jpg
nagano.jpg
morimoto.jpg

作家:井上修志 牛嶋均 長野櫻子 森本凌司

ゲスト 吉田政博
開催時間:14:00~16:00
開催場所:職場
内容:展示内容について作家トーク
参加人数:20 名度(予約不要、先着順)

Related Events: Weave, Tie and Release

morimoto.jpg

11 月 4 日(土)5日(日)
タイトル:編んで結んで解く
作家:森本凌司
開催時間:13 時から 16 時(3 時間)
開催場所:炭鉱電車展示建屋
※強風時は万田炭鉱館予定
内容:アソニットの糸を編み、それに小物を結び、最後に解く。
工程1: 1 時間編みもの練習
工程 2: 30 分編みものに結びたいものを見つける。
工程 3: 制作作業本番
工程 4: 完成したものを解く
参加人数:10 名
(要予約空きがあれば当日参加可能)
参加費:無料

Access and Pricing

231031M3_万田坑芸術祭A5マップ.jpg

大人・大学生/410円(320円)、高校生/ 310円(240円)、 中学生・小学生/210円(160円)、未就学児/無料

※( )内は20名以上の団体料金 *各種障がい手帳をお持ちの方は本人のみ割引あり

※大型バスで来場の場合は、事前にご連絡をお願いいたします

展覧会は、万田坑前の芝生広場周辺の他、万田坑の有料エリア内で開催します。 尚、11月3日(金・文化の日)は無料開放日です。

(来場と料金についてのお問合せ)

万田坑ステーション TEL 0968-57-9155

〒864-0001 熊本県荒尾市原万田200番地2

● 開館時間/ 9:30–17:00(入場は16:30まで)

● 休館日/月曜日 

● 企画協力/AIR motomoto(助成・公益財団法人野村財団)

 

(芸術祭についてのお問い合わせ)

荒尾市役所文化企画課 TEL 0968-63-1274

交通アクセス

● 国道208号線万田西交差点から東へ  県道荒尾・南関線に入り約2km、県道の左側

● JR荒尾駅から車で約10分

● 路線バス:万田公園前下車徒歩で約4 ~ 5分

Related Events: Gallery Tour 

029AC4BF-5D70-43AB-B2FB-65A136B506E1.JPG

11 月 12 日(日)12 月 17 日(日)
タイトル:ギャラリーツアー
担当:宮本華子
時間:13:00~15:00
開催場所:旧万田坑施設・AIRmotomoto
内容:展示内容について担当ディレクター案内
同時期開催 AIRmotomoto 成果展を含めた展覧会ツアー
参加人数:10 名程度
予約不要、先着順
(移動の際、自家用車で移動可能な方限定)
参加費:無料

AIR motomoto に移動の際の関連イベント 11/12のみ
荒尾梨談笑

スぺクス・ヨハネス x ​ドニカ・マリ

詳しい情報はこちらです

First Stage: miike echo 

[CS6]omote tomosada.jpg

miike echo

​-友定睦個展-

NEW 

○ 会期: 2023年2月 7 日(火)- 4 月 2 日(日)

○ 会場: 万田坑ステーション 旧万田坑施設 

               (世界文化遺産) 

                 〒864-0001 熊本県荒尾市原万田200番地2

○ 時間: 9:30ー17:00 

(ただし入場は 16:30まで)

○ 休館日: 月曜日

○ 入抗料: 大人・大学生 410円(320円)

     高校生 310円(240円)

     中学生・小学生210円 (160円)

〇 TEL:  0968- 57-9115

○email: info@arao-kankou.jp

Please see below for the flyer download. 

私は地域のリサーチを通して、その場にある象徴的なものや状態に目を向け、

それらを組み合わせたり動かしたりすることで、見えている風景が少し変わるよう表現活動を続けています。

2021年に旧三池炭鉱を訪れ、この場に数ヶ月間滞在し、

前景化されたものの背後にあるものを少し見ることができた気がしました。

短い滞在期間ではありましたが、この場に身体を馴染ませ、

自分なりの視点で地域の歴史や風景を切り取り、制作させていただきました。

今日の世界においてエネルギーと呼ばれるものの恩恵と歪みは、日に日に顕在化、また、複雑化しているように思います。

それにともなって、かつて繁栄を誇ったこの場が一意的なとらえ方で加速しているようにも感じます。

本展では2021年のリサーチと制作を軸にし、万田坑を舞台に、別の場から持ち込んだ人、

音、風景などを交えることで、新たな視点を提示したいと思います。

 

TOMOSADA Mutsumi

Artist

                                                   

                                                  

巨大な地下坑道への入口、万田抗。かつてどれくらいのひとがそこを日々に行き来したのだろう。巨大な入口は巨大な空洞となり、存在はその不在によって、いまもわたしたちを引き寄せる。

坑内に続く道、抗口の先にある生活。空洞に立ち、思いを巡らす。

ともの不在のへのアプローチはどこか穏やかなものだ。

いまここにある現在と、現在に内在する過去と、かつてそこにあった過去とを、まぜるのではなく、そっと束ねて差し出すような正直さがある。

だから私たちはそれを分解したり、重ねたりして、戯れることができる。

現在と過去 、こことここでないどこか、用いられる素材のひとつひとつが、

その場にあることによって、立体的に立ち現れる作品。

その身体的な体験には埋められない距離も親しい感覚も正直に束ねられているように思う。

MIURA Rie

( Ube Tokiwa Museum, UBE Biennale Secretariat in Ube, Yamaguchi )

​​​​​

bottom of page